運動と脂肪燃焼の関係

人は摂取されたカロリーを消費することで生命の維持をしています。もし、必要以上のカロリーを摂取している場合、消費量を増やすことだけで余分なエネルギーを残さない、つまり脂肪として蓄えないようにするには相当程度の運動をしなくてはいけません。

1日に必要なエネルギーを計算する上でその人の活動レベルでカロリーの多少が生じます。しかし、ハードワークをしている人でもせいぜい基礎代謝量と同等程度しか消費していません。1日活動してその程度ですから、運動によってカロリー消費量を増やすのは並大抵のことではないと分かります。ちなみに、体脂肪1kg(7,000kcal)を消費するためには、1時間に約200calを消費するウォーキングを35時間しなくてはいけません。

もうおわかりのように、消費エネルギーを増加させるには毎日の運動(活動)と基礎代謝量の増大が不可欠です。毎日の運動と基礎代謝とによる脂肪燃焼の仕組みはどう違うのでしょうか?その違いを認識していないと、無意味な辛い運動を毎日しなくてはならず、そのことがダイエットを諦めてしまう原因になってしまいます。

運動(活動)で脂肪が燃焼するまでの過程を追っていきましょう。エネルギーの主体はなんと言っても炭水化物を元に作られるグルコースです。グルコースはアミノ酸や脂肪の燃焼と比べてはるかに簡単な生化学反応で消費されます。つまり、体内にグルコースがあれば優先的にエネルギーとして消費されます。また、グルコースの余剰分は一部グリコーゲンとなって肝臓などに蓄積されていますが、量的には少ないのでこれも早く消費されます。ウォーキングやジョギングは食事前に行った方がよいと聞いたことはないでしょうか?体内にあるグルコースやグリコーゲンの量が減っている空腹時に運動すると、グルコースやグリコーゲンを消費する時間が短くなり、更に運動を続けようとするとそのエネルギー源として脂肪を使うようになるからです。

しかし、前述のように体脂肪1kgを消費するウォーキングは35時間しなければならないことから、日々の運動(活動)で効率よく脂肪燃焼に至るまでに、摂取されたカロリーを消費しやすい体にすることも大切なことが分かります。もうひとつのエネルギー消費の手段として、基礎代謝量をアップすることを考えてみたいと思います。

生命維持のためにカロリーが消費されることを基礎代謝といいますが、最も多くエネルギーを必要としている部位は筋肉です。体を構成している筋肉の種類を増やすことはできませんが、その太さをアップすることはできます。人の筋肉の中で最大のものが大腿筋、つまり太ももです。太ももに付いている脂肪を落として筋肉を太くすれば基礎代謝量のアップが望めます。基礎代謝量が増えると運動をしていないときも消費カロリーが増えますから、カロリーを摂取していない空腹時にもどんどんカロリーを消費します。空腹がいちばん長いのが就寝時です。寝ていても痩せられる、といううたい文句のダイエット法を聞いたことありませんか?それはまさに筋肉を身にまとうダイエット法のことなのです。

運動で脂肪を燃やす

運動時に消費される糖質と脂質の割合は運動強度で変わってきます。体内に取り込まれる酸素量と運動によって消費される酸素量が拮抗する地点までは、糖質と脂肪の消費割合は50%ずつですが、消費される酸素量が多くなると脂肪が燃焼しなくなります。したがって、キツイ運動は脂肪を燃焼させることができないため、ダイエットには不向きだということが分かります。

このように酸素を消費しながら脂肪を燃焼させていく運動を有酸素運動といいます。有酸素運動の本来の目的は、以下の通りです。

  1. 心肺機能、酸素摂取能力の改善
    • 呼吸筋を発達させ、外呼吸(肺と外部との空気の循環、体内への酸素のとりこみ)をよりスムーズにする。
    • 心筋を発達させ、血液の循環をより効率的にする。また、平常時の心拍数を下げる。
    • 骨格筋中の毛細血管の新生を促す。
  2. 冠動脈疾患の危険性の減少
    • 安静時の血圧を低下させる。
    • 血液中のLDLコレステロール、中性脂肪を減少させ、HDLコレステロールを増加させる。
    • 体脂肪を減少させる。
  3. 慢性疾患の発症率低下。特に、冠動脈疾患、高血圧、大腸がん、2型糖尿病、骨粗鬆症の発症率を低下させる。
  4. 不安や抑うつ感を軽減し、健全感を高める。

鍛えられたスポーツ選手は酸素摂取能力が高いために、運動の負荷を高めてもなお脂肪を燃焼させる能力があります。アスリートたちの体脂肪率が数%だということもうなずけます。しかし、我々一般人はアスリートのような過酷な運動を続けることはできませんし、いきなり厳しい運動を始めると筋肉や骨を痛めることにもなりかねません。

有酸素運動のポイント

有酸素運動を始めようとする人は、日常生活において行う活動を運動に置き換えて積極的に動けば良いと思います。次に示す日常生活における活動を組み合わせて毎日100ポイントになるよう工夫してみてください。有酸素運動はまとまった時間行うより何回かに分けて行った方がカロリーを消費しやすいと言われていますので、時間が空いたときを利用して体を動かすようにしてください。

Point運動3分間家事3分間
50サイクリング(20km/h)階段を上がる
44テニス
37ジョギング(歩行が混ざる程度)
35スロージョギング
31ウォーキング(かなりの早足)
28草むしり・庭木の手入れ洗車
25太極拳自転車に乗る(16km/h)子どもと遊ぶ
22ゴルフ(カート)ラジオ体操風呂掃除掃除機掛け
19大工仕事犬の散歩・歩き窓ふき
18バレーボール
16ストレッチ
14アイロンがけコピーとり皿洗い
13料理洗濯
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